傷ついた漆器を再生

京都クラフトセンター 「思い出修復」展


 「思い出の漆器、眠っていませんか」―。長年愛用しながら傷が付き、放ったままになっている漆器を修理する「思い出修復」展が東山区祇園町北側の京都クラフトセンターで開かれている。
 思い出と実用品としての価値をよみがえらせようと、伏見区毛利町の「思い出工房」が一昨年に実施。
 「予想以上の反響」(同工房)で、預かった漆器の修理が二年がかりでようやく完了、二回目の開催にこぎつけた。期間中、会場に持ち込まれた漆器の修理方法を持ち主と相談した後、同工房の漆職人、石川光治さん(46)が実費で修理する。
 会場では、これまでに修理した盆やたんすなど約20点を展示即売。たんすの修理工程を写真で紹介しているほか、漆器に関するさまざまな相談を無料で受け付けている。相談内容は、古くなり、かつてのつやがない▽一部が欠け、変色した▽漆器の価値が分からない▽修復を頼みたいが費用が気になる―など。大型家具や貴重品など自宅から持ち出せない漆器は同工房の職人が直接訪問する。見積もりは無料。
 石川さんは「漆器はきちんと手入れすれば代々使える。思い出が詰まった漆器を再生させたい」と話している。